学文館医学生理学研究所

ホーム > 上武大学医学生理学研究所/研究・活動報告

研究・活動報告

2022/10/24

 

「林副学長と小児医療センターは共同で小児白血病の解析を行い、

予後に関わる遺伝子変異の一部を明らかにして論文発表しました。」

 

  1. Kaburagi T, Yamato G, Shiba N, Yoshida K, Hara Y, Tabuchi K, Shiraishi Y, Ohki K, Sotomatsu M, Arakawa H, Matsuo H, Shimada A, Taki T, Kiyokawa N, Tomizawa D, Horibe K, Miyano S, Taga T, Adachi S, Ogawa S, Hayashi Y. Haematologica. 2022 Mar 1;107(3):583-592. doi: 10.3324/haematol.2020.269431.PMID: 33730843
  2.  
  3.                                                                  内容紹介 
  4. 小児急性骨髄性白血病(AML)の約40%は再発難治である。林副学長と群馬県立小児医療センターは共同で小児AMLの解析を行い、予後に関わる遺伝子変異の一部を明らかにして論文発表しました。日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG) AML-05臨床試験に登録された328症例を対象にサンガーシーケンス法と次世代シーケンサーを用いてRAS経路異常の網羅的解析を行い、臨床像との関連を検討した。同定した異常はNF1 (7例, 2.1%), PTPN11 (15例、4.6%), CBL (6例, 1.8%), NRAS (44例,13.4%), KRAS (12例,3.7%)であり、これらは相互排他的であった。予後解析ではNF1異常は予後不良因子、NRAS変異は予後良好因子であり、PTPN11変異症例は再発や非寛解症例が多い傾向にあった。これまでNF1は遺伝子が大きいため報告が少なく、実験ではmTOR阻害剤が有効性があり、分子標的薬の開発により予後の改善も期待できると思われた。またNRAS変異はCBFB-MYH11症例に有意に多く認められ予後良好因子であったが、この研究で同じRAS経路異常でも原因遺伝子により予後が異なることが判明した。
  5.